『げんしけん2』4話(木尾脚本回)ってホントに何だったんでしょ?

もう4年も前の話になるが、先日見返してやはり今でも思うところがあったので書いてしまう
4話は原作で描かれなかった部分を補完した(?)エピソードで、大野さんと田中が正式に付き合い、そのままベッドインするまでが描かれている
脚本を原作者の木尾士木が書いているのだが、これがとても原作者の脚本とは思えない
当時いやに深い部分に突っ込んで書かれているように思えて仕方がなかったのだ
原作のなあなあで済ませていた部分を暴くように描いたことで、逆に原作の持つイメージを作者自らがぶち壊しているようにも思えて興味深かった
今回はあらすじなどは割愛し、気になっていた部分を画像を交えピックアップ



斑目「(大野さんと付き合っている)田中に殺意を覚えるよな」


群像劇としてのキャラクター個人のリアルさみたいなものは、『げんしけん』では初期のエピソードで特にリアルに描かれる
ここで斑目の嫉妬がリアルなのは、自分と田中が同族であることに他ならない
オタク間における、こういうシリアスな描写は単純に笑いにもつながって非常に効果的である
僕が当時原作にハマった主な理由としてもその辺りが挙げられる



斑目「たまには巨乳エロゲーでもやりてぇよな?」
笹原「おいおい・・・」
斑目「何か良いのねぇ、笹原の方が詳しいだろ?」
笹原「いや〜・・・勘弁してください」
斑目「(荻上の方を見ながら)俺分かんねえんだよな〜」
笹原「まぁ、プリティメンマ2の新キャラの乳とか良いっすよ、キューティトン子とか言うふざけた名前の・・・」


女性のいる席でついつい下ネタを喋繰りたくなってしまう真意というのは、よく分かる
まさにモテない男の悪あがき、別に荻上を意識していないというのではなくて
彼女のような同族の女オタクですら、自分達は恋愛対象になれないという僻みがそうさせているのである(笹原にもそれを仮託しているのがリアルだ、そしてそれを迷惑がりながらも肯定する不甲斐なさも良い)
ただ大学生にもなってそれをやるのはいかがなものか、お前達もう少し大人になれよと個人的には思うのだが



大野「私昔から、経験豊富に見られるんですけど・・・」


大野さんというキャラクターに関して、連載が始まった当初は大半の読者が「経験豊富なキャラクターに見えるな」などとは理解していなかったはずだ
咲が「その身体で・・・」とエクスキューズしてはいるものの、この段階でこの台詞を言わせるには多分に説得力が欠けると思う
このアニメの2期が作られた時点では原作は終了しているため、後付けで補完しているつもりだろうが、それではあまりにむごすぎるだろう
この辺りのエピソードが連載されていた当時は、大野さんって本当に単なるてこ入れに追加された萌えキャラとしか描かれていないのである
原作ではその後大野さんに限っては大幅なキャラクターの改変が、もっともただの大学デビューなのかもしれないのだが、なされている
それを知らずにアニメだけ見てしまうと面食らってしまう、そんなシーンだ




田中「はぁ・・・やっぱ釣り合わねぇよなぁ」
久我山「はぁ?オタク同士だろうが」
田中「いや、俺はさ、どっからどう見てもそうだけど、大野さんは違うじゃん」
久我山「ううん?いやぁ、大野さんもどう見てもそうだろ」
田中「まぁあの髪だしな、でも基本のつくりがさ、美人だからさ・・・」
久我山「い、いや案外そうでもないだろ」
田中「え?」
久我山「た、例えば、春日部さんは芸能人レベルだけど、大野さんは一般人で可愛いってレベルだろ」
田中「そ、そうか?まぁ、そうなんだろうけど・・・いやぁ、きついこと言うね」
久我山「そ、そういうのを俺に求めてるんだろ」


友人同士といえど殆ど舌戦である
ここでもやはりオタク同士であるが故の田中に対する妬み嫉み、そして僻みが描かれているのである
同じオタクとして、どうしても久我山を応援したくなってしまう場面である



久我山「あ、当たり前だろ!お、俺なんか多分一生、どどどどど童貞だよ!」


当時ここまで台詞で言っちゃうのには驚いた
原作はオタクの悲哀みたいなものは主に斑目を通して描かれていたから、久我山の口からこの台詞が出るのは意外だった







ここでやっと告白









最後、求められた田中が妙にがっつくのだがこれが原作者にとってのリアルなんだろうか
気持ちは分からなくもないが、普段ヘタレの田中がリビドーの爆発により豹変するシーンというのは個人的に非常に腹立だしいのだが
この作者の描く性的な嗜好に関しては僕は昔からどうしても相容れないようだ
まぁ初めての彼女が出来て、尚且つ童貞ならばそうもなるのだろうか(いかんせん僕には経験がないので分からないのが悲しいところだ)



このスッキリしたみたいな顔がまた許せない



最後の笹原が泣かせてくれる
作劇のオチとしてもよく出来ている

げんしけん2 DVD-BOX

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