こち亀のアニメについて
こち亀のアニメについて。
一度だけ見ることが出来た最初期のやすみ哲夫時代、インパクトだけは一級だった渚の女王様に本日の被害(これはやすみ降板後もしばらく続いていたようだが)。
何もかもが懐かしいのだが、僕の場合、当時を思い返してみるとアニメ版こち亀の放映開始当時はその出来に関して色々釈然としないものがあった。
というのも、アニメ放映開始前に既に原作を知っていてファンになっていたので(小学校低学年の時点で既に原作に心酔していた)
麗子がスタート時から派出所に勤務していて、2話で中川が登場するアニメオリジナルのエピソードなどに代表される原作の改編や、やたら中川財閥の力に依存して話が作られていたある意味安っぽくて胡散臭い展開にかなり冷めていたという部分があったのだ。
尤もこち亀のアニメは度重なる監督の交代でカラーがみるみる変わっていったので、そんな当初の心配は良くも悪くも消し飛んでいったのは嬉しいんだか悲しいんだか複雑な思いではあった(と言っても後年になると原作の方が先に崩壊していったので僕のこち亀へのこだわりみたいなものはだんだんと希薄になってはいたが)。
とはいえ、そんなヒネていた視聴者だった僕でも認めざるを得ないアニメ版こち亀の一時代はあった。
2代目監督、三沢伸による約2年間の間に作られたこち亀がそれだ。
まずOPが抜群に良い。
TOKIOが歌っているのに一般的にはどマイナーな一曲、「Everybody Can Do!」 だが
僕は葛飾ラプソディーよりもこち亀らしいテーマソングだと思う。
EDの「いいことあるさ」、「淑女の夢は万華鏡」も単純に庶民モノのアニメのEDらしくて悪くない。
次がブウェーのビヤビヤだから余計にそう思う。
本編に関して言うと、まず原作からのエピソードの選び方が絶妙だ。
特に印象的に残っているのは両津が中川と結託してそば屋を再建させる話。
今日は両津が近所の子供達にテスト勉強をしてあげる話だった。
高松監督時代のこち亀で育ってしまった若い人には分からないだろうが、
こち亀の本来の魅力とは、海パン刑事や月光刑事に代表される特殊刑事課のおちゃらけではなく
生活感のあるギャグ漫画、下町人情漫画というコンセプトが根っこに敷いてあるということなのだ。
それを三沢監督は熟知しているのか、徹底して原作のあまりにぶっとんだエピソードは扱っていない。
かなり地味な話を選んでしまうが故に、オチが弱くなるのも厭わないでいる節もある。
そこが、良い。
「こち亀はあくまで庶民の漫画、老若男女楽しめる下町人情漫画である」
三沢時代のこち亀には徹底してそれが貫かれている。
安心して見られるし、また明日も見たくなる。
僕にとってアニメ版こち亀の黄金期は、三沢伸の監督時代に短いながらも確かにあった。
(出典不明)
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