破邪巨星Gダンガイオーを見た

色々見るべき箇所が多くて視聴して正解でした。
昔からキャラデザイン・総作監の山田正樹さんの絵が好きで、『ランジェリーズ』とかも好んで見ていた流れで今回視聴したのですが、この作品は作画に関しては全編非常にアベレージが高く、今みても全然遜色ありません。
当時(00年代前半)のTVシリーズって極一部を除いてクオリティに非常に難のある作品が多かった印象なのですが、これに関しては凄まじい安定感だった。
なんてったって総作監のお二人の仕事振りが素晴らしい。特に高岡じゅんいちさんは全話数、殆ど全部のキャラクターのカットに手を入れてる印象で、それがカッコいいのなんの。
自分は結構前から高岡さんも気になっていて、特にキャラクターの作画に関してはここぞと言う時に湖川友謙リスペクトな作画をされる方という認識だったのですが、けだしこういうロボットアニメだとそれらの持ち味(アップショットの煽り、俯瞰など)が自重することなく存分に出せていて、とても良かった。



彼は与那嶺軍司ってキャラクターなのですが、個人的に凄く気に入りました。
作劇にはあまり生かせられた印象がないのですが、アニメーションのキャラクターとしては出色の出来だと思う。
作中では40歳の設定だそうですが、その風貌や落ち着き具合、C.V青野武さんの声で自分は70歳くらいを想定して見てました。むしろそうであってほしかった。
齢70歳くらいの割になかなかハッスルした老指揮官として見れば、碇ゲンドウとの差別化はもちろん、キャラ単体として非常に魅力的だと思う。
そもそもこの主役ロボ・ダンガイオーを擁するアヴァルダという組織は、通信系統などオペレーションを司る部署にはどうも若い女性しかいないようです。対して男性職員は白兵戦などの直截な戦闘分野を任されていた。
なんというか、所詮はマンガアニメだし、うら若き女性を戦いの最前線に出すというのは現実的に考えればまだまだ無理があるのだけど、仕方ないことではある。
そこは当然、アニメを見ている視聴者も理解しているとは思うが、それをわきまえた上でこの作品、指揮官に敢えて老人(に見える)を据えて、周りをすべて若い女性で固めるという構図は、独断ではありますが、僕はこれヒッジョーに腑に落ちました。
与那嶺が変に下半身的なモノを感じさせないような老人(に見える)だけに、むやみに男女の関係みたいなのを感じさせないのが逆にアニメ的な清涼感、キャッチーさに繋がってるというか(完全に妄想ですが)
特定の作品に対する叩きになっちゃうからこれ以上は自重しますけど、とにかくこの与那嶺という男は良かった。


最終回の内容に関して当時は叩かれたみたいですけど、これ最後まで見るとどうにもスタッフを責められない。
そもそも当時1クールのアニメってまだまだ稀有だったですよね、短期決戦でドラマを転がすってことに慣れてなくて、着地点としても視聴者の納得のいく落としどころが開発されてなかった時代でした。
大体1クールが主流になってる今の深夜アニメでさえ、そのへんは試行錯誤してるし、そもそもドラマを描くことを放棄した作品が大部分を占めてるように思いますし。
このGダンガイオーは見れば分かりますけど、結構ガチで真面目にドラマに取り組もうっていうスタッフの意志が感じられたりします、それに応えるために作画は磐石の配慮をしたようにも見える、特にキャラクターの感情表現に関しては非常に力が入ってます。
それだけに敢えてラストはサジを投げるしかなかったんでしょう、続編を作る作らないっていうのを抜きにしても、全編不完全な作品になるのを回避したのでは。


とはいえ最終回は本当に全編見所だった。山田さんのシャープな画に惚れ惚れでした。
メカ戦闘シーンも巨大感、重量感に力を入れていて、迫力があった、合間に入る基地ミサイルとか脇役メカのシーンは結構橋本敬史さんの手堅い仕事に思えたり。
カッチリしていて世界観が引き立つ。いや、ロボット自体は上手い人が好きなように描いても作品としては纏まると思うんだけど。
ミサイルとか、俗に言うエフェクトといった主役以外の画に関しては、少数の個性で統一されたビジュアル作りっていうのは作品が締まるし、画面の映えさせ方としても効率の良いまとめ方だと思う。
結果的にこのアニメは「ここの作画、(クオリティ的に)漏れてるなぁ、もったいない」っていうのが全く感じられなかったです、すんげえかったなあ。